光と物質のハイブリッド粒子でAI演算を革新 — ペンシルバニア大のフォトニクス突破口
フォトニック演算の非線形問題を突破
ペンシルバニア大学の物理学者Bo Zhen教授率いる研究チームが5月18日、エキシトン・ポラリトン(光と物質のハイブリッド粒子)を用いた全光学的信号スイッチングを実証した。フォトニックAIチップの非線形活性化ステップで光信号を電子信号に変換しなければならないという長年の課題を解決する成果だ。
1スイッチングあたり4フェムトジュール
チームはナノスケールの光共振器に光を閉じ込め、原子一層厚の物質と結合させてエキシトン・ポラリトンを生成した。このハイブリッド粒子は光の速度と物質の強い相互作用能力を併せ持ち、電子変換なしの光学スイッチングを可能にする。測定された消費エネルギーは1演算あたり約4フェムトジュール(4×10⁻¹⁵J)と極めて小さい。
AI電力危機への処方箋となるか
大規模AIモデルのトレーニングと推論が世界のエネルギーインフラに与える負荷が増大するなか、フォトニック演算は電子系GPUアクセラレータの有力な後継候補として注目されてきた。入力から出力まで信号を光のまま処理する「全光AI推論」が実現すれば、データセンターの電力消費を桁違いに削減できる可能性があり、今回の研究はその実用化への最後の障壁の一つを取り除いた成果として位置づけられる。
Related Articles
Google Researchは、皮膚症状を調べるAIを病名候補だけで測らず、利用者が次の行動を選べるかまで見た研究を示した。JAMA Dermatologyの2,345人調査と混合研究を合わせ、医療AI評価の焦点が利用者理解へ移っている。
Googleの支援を受けたUC San Diegoの研究者が、退役Pixel 2,000台を使う低炭素クラウド基盤を計画している。端末をメインボードまで分解し、25〜50台単位のKubernetesクラスターとして授業・採点・研究用途に回す構想だ。
Claude Scienceは研究者向け作業台で終わらない。Anthropicは、顧みられない疾患の治療薬候補を自ら探索する方針を示し、AIモデル企業が製薬向けソフト会社と創薬プレーヤーを兼ねる可能性が出てきた。